チョキ潤退任の一連に関して
この度、失恋じゃんけんの予想を担当しておりましたチョキ潤から私宛に「失恋じゃんけん5連敗の責任をとって退任したい、そしてじゃんけん協会の活動もしばらく休みたい」という文面のメールが届きました。
私はすぐにチョキ潤と連絡を取り、駅前の鳥貴族で話し合いをすることにしました。
現れた彼はすっかり意気消沈していましたが、注文したレモンサワーを一気に飲み干しこう言いました。
「もう、自信がないんです。 怖いんです。」と。
彼は思った以上に正直に気持ちを言ってくれました。
そして私は彼に思っていることを伝えました。
まず辞める事が責任をとることとは限らないということ。
敗者となって、はじめて勝者が存在するということ。
緻密なデータが全てではないということ。
そして、もし君がこのまま負け続けてたとしても、日本じゃんけん協会は胸を張って負けを受け入れるという事。
大切なのは勝つ事。しかしそれ以上に大切なのは手を出すことだ。
と伝えました。
しかし一度決意したチョキ潤は揺らぐことなく、ドラマの主人公のように真っ直ぐ前を向いていました。
何時間たっただろうか。もはや何杯目かわからないレモンサワーはただ甘く、ジュースのようでした。
彼は言いました。
「僕が今じゃんけんで勝ったら退任してもいいですか」
私は答えました。「納得できない。が、断らないじゃんけんなど存在しない。やろう」
私たちはじゃんけんしました。
結果はここでは言いません。
彼は、泣いていました。
勝ち負け以上に大切なのは手を出すこと。そう、日本じゃんけん協会は誰よりも強いわけではなく、誰よりもじゃんけんを愛しているのです。そして誰よりも愛しているからこそ、誰よりも勝ちたい。
チョキ潤は続投を決意しました。
外に出たとき街はまだ暗く、僕らは始発を待って駅に向かいました。
チョキ潤は日本じゃんけん協会きってのデータ派で自分の論理に絶対の自信をもっていました。誰よりも勝ちたいから、誰よりも論理を重ね、誰よりも負けず嫌いでした。負けたくないから負けなかった。しかし、だから負けを知らなかった。負けを知らぬ者は勝ちを知ることはありません。
チョキ潤は強くなりました。敗者になった今だからこそ、勝者になれるのです。
駅改札越しに私はいつも通りこう言い、手を振りました。
「パーでさよならだ!」
無邪気に手を振る彼の手は、、、よく見るとチョキ!くそ 新チョキ潤、強いぞ!
日本じゃんけん協会 会長 まつもとはるお